日本民間故事中日雙語

隠れみのに身を包んだ彥一は、さっそく居酒屋にやって來ると、お客の橫に腰をかけて徳利のままグビグビとお酒を飲み始めました。

穿上隱身蓑衣的彥一立馬就去了居酒屋,坐到客人旁邊,拿起酒壺就咕嚕咕嚕開喝了。

それを見たお客は、ビックリして目を白黒させます。

看到的客人都是嚇得目瞪口呆。

「とっ、徳利が、ひとりでに浮き上がったぞ!」

“酒...酒壺自己飄起來了!!”

さて、たらふく飲んだ彥一は、ふらつく足で家に帰りました。

喝飽酒的彥一搖搖晃晃地回了家。

「うぃー。これは、便利な物を手に入れたわ。……ひっく」

“喔,這真是得到了好東西呀。....”

隠れみのさえあれば、いつでもどこでも好きな酒を飲む事ができます。

只要有了隱身蓑衣,隨時都能喝上喜歡的酒。

次の朝。

第二天早晨。

今日も、ただ酒を飲みに行こうと飛び起きた彥一は、大事にしまいこんだ隠れみのがどこにもない事に気がつきました。

為了喝酒早早爬起來的彥一卻發現怎么都找不到昨兒個好好收起來的隱身蓑衣了。

「おーい、おっかあ。つづら(→衣服を入れるカゴ)の中にしまい込んだ、みのを知らんか?」

“喂,老媽,你有見過我收在箱子裡的那件蓑衣嗎?”

「ああ、あの汚いみのなら、かまどで燃やしたよ」

“你說那件髒得一塌糊塗的蓑衣啊,我放灶台里當柴火燒了。”

「な、なんだと!」

“啊什麼!!”

のぞきこんでみると、みのはすっかり燃えつきています。

跑去看的時候,蓑衣已經完全燒成灰了。

「あーぁ、なんて事だ。毎日、酒が飲めると思ったのに……」

“啊啊,怎么會這樣。還想著每天都能喝到酒了...”

彥一はぶつくさいいながら灰をかき集めてみると、灰のついた手の指が見えなくなりました。

當彥一一邊碎碎念著,一邊把灰攏起來時,碰過灰的手指變不見了。

「ははーん。どうやら隠れみのの効き目は、灰になってもあるらしい」

“哈哈哈,貌似這隱身蓑衣變成灰了也還有效。”

體にぬってみると、灰をぬったところが透明になります。

他又試著塗在身上,發現只要沾到灰的地方就會變透明。

「よし、これで大丈夫だ。さっそく酒を飲みに行こう」

“嗯,這樣就行了。現在就去喝酒。”

町へ出かけた彥一は、さっそくお客のそばにすわると徳利の酒を橫取りしました。

上了街,彥一一坐到客人旁邊,就伸手過去奪過酒壺。

それを見たお客は、「わっ!」と、悲鳴をあげました。

看到這一幕的客人“哇~”的一聲大叫起來。

「み、みっ、見ろ。めっ、目玉が、わしの酒を飲んでいる!」

“看,看那。眼,眼珠在喝我的酒!”

隠れみのの灰を全身にぬったつもりでしたが、目玉にだけはぬっていなかったのです。

雖打算是全身都塗上隱身蓑衣的灰,就只剩眼珠沒有塗。

「化け物め、これをくらえ!」

“怪物!看招!”

お客はそばにあった水を、彥一にかけました。

“那客人拿過旁邊的水就潑到了彥一一身。”

バシャン!

嘩啦啦!

すると、どうでしょう。

這可如何是好。

體にぬった灰がみるみる落ちて、裸の彥一が姿を現したのです。

眼看著塗在身上的灰全都掉了,彥一裸著身子出現在那裡。

「あっ! てめえは、彥一だな! こいつめ、ぶんなぐってやる!」

“啊,是彥一!你這傢伙,非打死你不可!”

「わっ、悪かった、許してくれー!」

“啊,我錯了。饒了我吧。”

彥一はそういって、素っ裸のまま逃げ帰ったという事です。

彥一扔下這句話就這么裸著逃走了。

おしまい