日本民間故事三:狐狸小姐
むかしむかし、仁和寺の東にある高陽川のほとりに、夕暮れ時になると可愛い少女に化けたキツネが現われて、馬で京に向かう人に聲をかけるという噂がたちました。
傳說在很久很久以前,在仁和寺東邊的高陽川邊,一到日暮,狐狸就會幻化成可愛的少女跟騎馬進京的人搭訕。
「どうぞ、私をお連れ下さいませ」そう言って馬に乗せてもらうのですが、すぐに姿を消して乗せてもらった人をびっくりさせると言うのです。
“請帶上我吧。”然後等坐上馬車之後,就立馬消失,嚇唬那些搭載她的人。
ある日、一人の若者が馬でその場所を通りかかりました。
有一天,有一年輕人騎馬經過那。
そこへいつもの様に少女ギツネが現われて、若者に聲をかけました。
狐狸小姐如常地出現,並跟年輕人搭話了。
「そこのお馬の人。私をあなたさまの後ろへ、乗せてはいただけませんでしょうか?」
“騎馬的朋友,不知可否載我一程?”
「ああっ、いいですよ。」
“啊,當然可以。”
若者はこころよく引き受けると、その少女を自分の馬に乗せてあげました。
年輕人愉快地答應了,讓那個少女騎到了自己的馬背上。
そして何と、すでに用意していたひもを取り出すと、その少女を馬の鞍にしばりつけてしまったのです。
然後迅速拿出事先準備好的繩子,把少女綁在了馬鞍上。
「これで逃げられまい」
“這樣就逃不掉了。”
実はこの若者、その少女がキツネだという事を仲間から聞いて知っていたのです。そしてそのいたずらギツネを捕まえようと、ここにやって來たのでした。
其實呢,這個年輕人已經從朋友那裡聽說了這個狐狸小姐的故事。特意來此抓這隻調皮搗蛋的小狐狸。
少女ギツネを捕まえた若者は、仲間の待つ土御門へと急ぎました。
年輕人抓住了狐狸小姐之後,就急急趕往與朋友約定的土御門。
若者の仲間は、たき火を囲んで待っていました。
年輕人的朋友正圍著篝火等著呢。
「おお、約束通りキツネを捕まえてきたぞ。逃げられないように、みんなで取り囲んでくれ。」
“喂,我按照約定把狐狸給抓來了。大家圍著吧,免得讓她給逃了。”
仲間たちが周りを取り囲んだのを見ると、若者は少女ギツネをしばっているひもを解いて放してやりました。
年輕人看到朋友們把狐狸給團團圍住了,就解開了綁著的繩子。
しかしそのとたん、キツネも仲間のみんなも、すーっと消えてしまったのです。
但就在這時,狐狸和朋友們都嗖的一聲消失了。
「なに!……しまった!あの仲間は本物ではなく、キツネが化けた物だったのか!」
“怎么會!……糟了!剛剛的不是我朋友,是狐狸幻化而成的!”
若者はじだんだをふんでくやしがりましたが、でも數日後、再び少女ギツネを捕まえたのです。
年輕人是捶胸頓足,後悔不已。而幾天之後,他又再次抓住了狐狸小姐。
若者は、キツネに化かされないためのおまじないにまゆ毛につばをつけると、注意しながら本當の仲間の所へ行きました。
為了能不再被狐狸欺騙,年輕人在眉毛上塗了口水,十分小心地到真正的朋友那裡去了。
そして仲間と一緒に、さんざん少女ギツネをこらしめてから放してやりました。
然後跟朋友一起好好地教訓了狐狸小姐一通之後,把她放走了。
それからしばらくたって、若者はその少女ギツネの事が妙に気にかかり、高陽川のほとりまで様子を見に行きました。
那之後不久,年輕人對狐狸小姐的事莫名地在意起來,就去高陽川邊去看了看。
するとやはり、あの少女ギツネが現われました。でも著物は薄汚れていて、顔色もよくありません。
狐狸小姐果然出現了。狐狸小姐的和服有點髒,而且臉色也不好。
若者は、少女ギツネにやさしく聲をかけました。「この前は、少しやりすぎたようだ。今日は何もしないから、京まで乗せていってやろう。」
年輕人就很輕柔地跟狐狸小姐說。“我之前好像做得有些過分了。今天什麼都不會做,讓我載你去京都吧。”
すると少女ギツネは、悲しそうな目で若者を見ると、「どんなに乗せてもらいたくても、またこの前の様に、こらしめられるのは怖いから、いやや。」
而狐狸小姐只是用悲傷的眼神看著年輕人,說:“雖然我很想乘,但是我害怕又像之前一樣被你們教訓一通,還是不要了。”
と、言って姿を消して、二度と現われる事はなかったそうです。
話音剛落,就消失了,從此再也沒有出現了。
おしまい